[教員]調理も食事も全ては自然の一部。プロの料理人が伝えたいこと

幌加内高校の教員

様々なホテルで調理人として長年勤めた後に、幌加内高校へ招かれた澤田先生。

食品メーカーの営業やスーパーでの技術指導員として「食」に関わることで、調理だけではなく加工から販売まで全てのことに関して精通しています。

地元で生まれ育ったプロの調理人から学ぶ授業とは。

これまでの経歴

旭川ロワジールホテル(前パレスホテル)調理師(9年半)

食品メーカー営業兼工場長(1年)

大手スーパー技術指導員(3年)

名寄グランドホテル調理師(3年)

士別グランドホテル調理師(3年)

幌加内高等学校(5年目)(2020年現在)

調理師としての経歴はアルバイト時代からを含めるとさらに多種多様な経歴を持っている澤田先生。

幌加内高校教員の中でも地元出身で、町のことなどにも詳しい先生です。

高校生で調理を学ぶということ

多くの調理学校は高校を卒業し専門学校などに進学をしなければ、専門的な調理を学部ことができませんが、本物のプロから学ぶことができる幌加内高校。

調理人の世界で育ってきた澤田先生は多くを語ることはなく、調理をする姿勢や、自らが作り出す調理で学生にスキルの高さと、仕事への姿勢を生徒に伝えてくれます。

「古風かもしれないけど、背中で語るタイプですかね」

社会に出て様々な大人と出会っていく中で、高校生のうちから職人として培ってきた教員から学べることは調理だけではありません。

職人を通して肌感覚で学ぶものは、高校生にとって貴重な経験です。

「食べる」「作る」は自然の一部

北海道の大自然に憧れて。

そんな環境を求めて北海道外からも生徒がやってくる幌加内高校。

北海道の高校の中でも特に過疎に位置し、正に大自然の中で生活を送ることができる高校です。

「今の飲食業界で成功をしている人たちは、農業をはじめとした1次産業から学んでいる人が多い」

調理だけではなく、生産から加工、販売まで全てのルートに精通している澤田先生が生徒に伝えていきたいことは、

〝「食べる」「作る」も自然の一部〟だということ。

農業高校で一緒に調理を学ぶということは「自然を感じる一部である」ということを感じ取ってほしいと考えています。

今までになかった挑戦

澤田先生が幌加内高校に赴任してから、今まで取り組んでいなかった分野への取り組みを行いました。

その中でも代表的な取り組みは、旭川市内で行われるラーメン甲子園への出場。

そして幌加内高校商店会と、学校で生産加工、調理を行ったものの販売会です。

これらの授業は学校という枠を飛び出した、実践的な授業となりました。

ラーメン甲子園

ラーメン激戦区と言われる旭川に、高校生を参加させプロと対等に競い合わせる。

隣の町にはなりますが、地域が取り組んでいるイベントに参加することで社会性や授業だけでは学べない経験値を得ることができます。

「毎年終わった後に、スープの作り方など聞かれることがあるんだよね」

高校生の出場と言えども、ベースを教えるのはプロの料理人。

他店のプロからも一目置かれる味を伝授してくれる、腕の持ち主です。

幌高商店会

生産、加工、販売これらの経験を全て学ぶことができるのが幌加内高校の特徴の一つですが、

これらの運営の中心人物として、大きく携わっているのが澤田先生です。

「全くの0から始めた高校の商店会。最初の生徒達はちんぷんかんぷんから始まりました」

今でこそ幌高商店会も学校のイベントとして定着し、地元の町を中心に多くのお客さんが楽しみに待つようになった定例行事。

年に3回行われる商店会では、ただ単に商品を作って売るのではなく、商品のディスプレイ(並べ方)から原価率の算出まで授業の一環として生徒に伝えます。

現場の第一線でこれらのことをやっていた、澤田先生が教えてくれる活きた授業です。

また1年生から3年生の混合チームを作り「広報係」「ベーカリーチーム」「そば打ち」などに振り分け、あえて3年生に責任感を持たせることで、仕事の責任を学ぶ機会を与えています。

「毎年レベルが上がっていくのを見ているのが楽しい」

イベント運営は簡単なことではありませんが、生徒の成長が澤田先生の楽しみの一つにもなっています。

調理も農業も同じプロセス

アイディアをイメージして何かを作り販売する。

野菜を作る作業にしても、調理をする作業にしても、仕事となるとそこまでのプロセスは同じ。

「プロセスを考えることで、考える力が養われる」

6次産業という生産・加工・販売を授業として取り組む中で、アイディアの発想性も促してくれます。

ここだからの感覚を

幌加内出身で幌加内高校のOBでもある澤田先生が、様々な町やホテルで得てきた経験を今の高校生に伝えています。

「その地域の自然を感じるからこそ、作れる料理もあるんです」

作って食べるという人が生活をしていく中で当たり前のことを、自然の豊かな町で学んでほしいと澤田先生は言います。

「ここで得れる感覚は一生のものとなります」

この町で生まれ育ち、この町だからこそ戻ってきた澤田先生が自然に恵まれた環境の中で、調理を通して生徒に伝えたい〝感覚〟という感性。

その〝感覚〟は学ぶことよりも、感じ取るものなのかもしれません。

プロフィール

澤田 祐治(さわだ ゆうじ)

幌加内町出身

休日は好きな音楽を聴きながらドライブをするのが趣味。

料理人という体育会系の厳しい世界で腕を磨いてきたが、澤田先生本人は温厚な人柄。

元々は中華料理人を目指していたが、様々なホテルで調理をするうちに、和洋中全てのジャンルをモーラするようになる。

フランス料理に関しては大学で講義なども行なっている。

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