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1年間の地域留学
今年度より、内閣府の地方創生事業の一環として受け入れが始まった〝地域みらい留学〟という国内留学制度。
高校2年生の1年間を地方の高校へ留学できるという、留学の国内版です。
2022年現在、全国で同じ制度を利用して留学できる高校は約15校。
こちらの留学制度は3年間の地方留学も行うことができ、そちらの受け入れ校は全国でかなりの高校が参画しています。
1年間地方の高校で
全ての留学生は首都圏からやってきた生徒たちでした。
そんな大きな町から人口1300人余りの、北海道の小さな町へやってきた留学生。
最初は新たな挑戦ということもあり、緊張と不安を抱えながらの走り出しだったのではないでしょうか。
4月だというのに学校の周辺では多くの雪が残り、山々に囲まれた小さな町で生活をするのは生まれて初めての体験だったと思います。
全校生徒は30人ちょっと。多くの高校ではひとクラス分の生徒数、もしくはそれ以下の人数だったかもしれません。
地方の高校ならでは
現在、多くの地方の高校ではカリキュラムを組んで様々な特色を出しています。
幌加内高校では「そば打ち」が学校の必修科目となっており、全国高校そば打ち選手権などでは3連覇を達成するなどの実績があります。
そばの生産量が日本一の幌加内町では、高校の必修科目にそば打ちを取り入れることによって、地域の特産を理解すること、そば打ちを通して勉学以外の学びができることを目的としています。
地域みらい留学生にとっては、首都圏の高校などでは学ぶことのできないカリキュラムを学ぶことによって、他とは違う体験をすることができます。
また、これらの授業を通して地域住民の方々の指導から、地域交流なども同時に経験します。
学校の教員以外からの指導や交流は小さな学びと気づきを与えてくれるものでもあります。
地方の特色
北国では雪、南国では海など、国内の地方の町ではそれぞれの気候や土地の特徴があります。
同じ国内であっても北海道ともなると、言葉や文化、気候や人の気質など多くの面で違いがあります。
高校生という感受性の高い成長期に地元から離れて他の土地で生活をし、新たな学校生活を送ることで自分では気がつかない成長もあることでしょう。
また、他の友人を通して自分の住んでいる町や生活との違いに驚くこともあれば、新しい発見もあるかと思います。
地方の特色を経験することで、将来的に様々な選択肢を考えることができるかもしれません。
地域みらい留学は学校だけではない
地域みらい留学365の特徴は、学校だけでの学びではないこと、そしてこの制度は学校だけで行なっている制度ではありません。
幌加内では町役場の方々や教育委員会の方々も彼らのサポートをするにあたり、様々な仕事を裏では支えています。
長期の休みなどでは町内にある家庭にホームステイをして、様々な体験をさせてもらったり、普段の生活では直接会話ができないであろう、町長と話をする機会があったりと、学校外での経験も多くのものになります。
特に地域みらい留学生の中でも1年を通した留学で「一番思い出に残っているのがホームステイ」と多くの生徒から声が上がるほど有意義な時間でありました。
また受け入れてくれたホストの家族も、彼らの成長を見守ってくれ互いに1年間を通して信頼関係も作っていただきました。
地域探求
地域の探求という視点から幌加内高校では、地元のフィールドを使った授業を行うことで、そこで働く人々や地域の特色などの理解度を高めてもらいます。
幌加内町には朱鞠内湖という、日本一の人造湖があります。
夏には多くの釣り人が「幻の魚イトウ」を求めてやってきますが、冬になると湖面の上に積もった雪と氷に穴を開けてワカサギ釣りを行います。
これらは町の観光資源の一つであり、朱鞠内湖自体が町のシンボルのような湖でもあります。
また多くの高校生にとって、学校の教員以外の社会人と接する機会もそう多いことではありません。
その中で、このような場所で〝遊び〟というものを〝仕事〟にしている人たちと接し、将来への選択肢を広げるものであってもらいたいことでもあります。
在校生にとって
地域みらい留学生の存在は幌加内高校に在籍する在校生にとっても相乗効果を発揮してくれている存在です。
小さな学校故に、数名の留学生が入ってくるだけでクラスや生徒の変化は表れます。
幌加内のような小さな町で育った生徒にとっては、首都圏の高校生の生活を聞いて刺激を受けた生徒がいたかもしれません。
また、学習面で留学生に引っ張られた生徒もいたかもしれません。
地域みらい留学は、在校生にとっても新しい見識や価値観、友人関係を築き上げるのに様々な効果を発揮しています。
毎年の変化
幌加内高校では地域みらい留学365という制度で、毎年2年生の1年間を数名が留学を目的にやってきます。
少人数の幌加内高校では、ほとんどの生徒が寮生活を行なっているため学年を超えての交流も少なくはありません。
多くの時間を過ごす2年生のクラスの変化はもちろん、在籍する1、3年生にとっても毎年新たな交流ができる生徒がやってくることも、対応力やコミニケーション能力を高めるのに最適な関係でもあります。
また在校生が普段の生活の中で留学生のサポートを行うことによって、彼らにとっての成長も見込むことができます。
遊びや普段の生活の中で成長する部分もあれば、サポートを行うことにより得れる経験も小さなものではありません。
日本の大きさを
今年度、幌加内高校の見学旅行は沖縄でした。(年によって変わります)
首都圏からやってきた生徒にとっては、1年の間に北海道で学校生活を行い、見学旅行では沖縄を体験するという日本の端から端まで移動します。
北海道から沖縄までは距離にして約2300km
距離間だけの問題ではありませんが、日本の端と端の土地を踏み体感することによって広い視野を持つことができます。
体感から得られるものはテレビやネットで得られる知識とは違ったものがあります。
地図を見て自分の地元と北海道そして沖縄と、国内縦断していることを実感できた留学生もいたかもしれません。
同じ国で違う価値観
沖縄で南国の自然や食べ物などを経験した後には、幌加内の冬の季節へと入ります。
同じ国内であっても、これほどの季節感を1年の中で味わうことはそう多いことではないかもしれません。
違う価値観を通すことで学ぶことは留学生にとっても人それぞれでしょう。
しかしその中で他人や文化の違いを知り、尊重することで自身にとっても成長できる糧となるのではないでしょうか。
そしてそれらの経験が今後の高校生活や、その後の人生に影響を与える価値のあった経験に繋がるものであるとより良いものになります。
最後に
ある生徒によっては海外留学が難しい状況で選んだ地域みらい留学。ある生徒によっては通信制で学びながら環境を変えた地域みらい留学。またある生徒によっては他人と違う経験を積んでみたく選んだ地域みらい留学。
様々な理由で地域みらい留学という制度を利用して、幌加内という小さな町の小さな高校へやってきてくれた留学生たち。
皆さんが経験してくれたことは、幌加内という町にとっても幌加内高校にとっても経験をさせてくれたものでもあります。
また、ここで出会った仲間たちと長きに渡って良い関係が続いてくれることを幌加内高校は望んでいます。
そしていつか幌加内へ訪れることがあれば、多くの町の人々も含め思い出に残った話ができると、それは楽しい時間になるのではないでしょうか。
幌加内高校へ地域みらい留学365で留学をしてくれた皆さん、ありがとうございました。そしてまたいつか会いましょう。
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