北海道内の３つの農業高校で多くの生徒に「農業」を教えてきたT先生。
いつも笑顔で農作業をしている姿に、多くの生徒が安心感と楽しさを覚えます。
T先生が農業を通して高校生に伝えたいこととは。
これまでの経歴
北海道倶知安（くっちゃん）農業高等学校（５年）
北海道剣淵（けんぶち）高等学校（９年）
北海道音更（おとふけ）高等学校（１０年）
北海道幌加内（ほろかない）高等学校（2020年現在７年目）
北海道内の様々な農業高校で農業を教えてきたT先生。
稲作から野菜、花まで幅広い分野に特化した先生です。
教員に恵まれていた自分
T先生が教師を目指すきっかけになったのは、自身が学生時代に出会ってきた教員の素晴らしさに憧れを抱いたから。
小学、中学、高校と様々なタイプの先生に出会い「恵まれていた」と語るT先生は、教員を目指そうと大学進学を目指したものの、希望としていた教育大学へ進学することはできませんでした。
しかし運命とは面白いもので、他に受験をしていた酪農大学に合格し、その頃にはすっかりと農業の面白さに魅了されます。
酪農大学でも教員免許を取得することのできたT先生が、農業の教員としてスタートした理由はちょっとした運命の掛け違いからでした。
農業高校の教員として
初めて赴任した倶知安高等学校では「水田」を担当教員として任されました。
合鴨を使った「合鴨農法」を取り入れ、自然の良さをそのまま生かした授業を行います。
その後、いくつかの高校で野菜や花などの担当教員をやっていくうちに、その他の作物の栽培にも面白さを見出します。
「水田は一年に一度だけど、花はサイクルが早いのでそこが面白かった」
バブル期が終わりかけの頃に、ガーデニングブームも重なって、学校で作る花がどんどん売れていく状況も拍車をかけました。
正解のない授業
「一年前にやった手法が必ずしも次の年に通用するというわけではないのが農業の世界」
T先生がそう語るように、農業を学ぶことも、農業を教えることも決まった正解はありません。
毎年気候が変化するのは当たり前のことであり、場合によってはその年の土の状態が同じというわけではありません。
また地域や土地によって環境は様々なので、以前勤めていた高校で教えた手法が次の土地の高校で通用するとも限りません。
知識ばかりで当てはめることができないのが農業の面白さでもあるのです。
目標が生徒と同じ楽しさ
「最終的に生徒と同じ目的を目指していることが農業の教員としての楽しさ」
そうT先生は語ります。
見て観察をすること。匂いで自然を感じること。身体を動かして作物を作るということ。
汗水を垂らして、身体の全てで農作業を行うことによって、農業の楽しさを感じてほしいと考えています。
部活動や、受験と違い誰かと競うことはなくとも、生徒と最終目標を共有しそこに向かう工程が農業の授業の面白みです。
町の顔として
T先生の授業が町に活かされていることの一つに、ガーデニングで町内を彩っていることがあげられます。
学校の敷地内だけでなく、道路脇や近隣の小学校に花を植えることによって、町に華やかな色をつけています。
また町内の入口に面している幌加内高校は、道路からも見える高校ということもあり町内の顔でもあります。
学校の顔でもあり、町内の顔でもある学校近隣の敷地をガーデニングで色鮮やかにすることは、町のイメージをよくすることだとも考えています。
町民の応援
町立高校の幌加内高校は町の人々の応援を肌で感じることができる高校です。
特に幌加内高校の畑でできた野菜や、花の販売会を一番楽しみにしていてくれているのが、町内に住む人々。
そんな町民の応援に応えるためにも、様々な種類の野菜づくりに挑戦したり、積極的に町内外で販売を行なっています。
「町内の人たちのおかげでブランド化もされている」
「幌高ブランド」と呼ばれる様々な商品は、町と学校によって産み出されているブランドなのです。
地域みらい留学３６５で来る生徒へ
幌加内高校が参画している「地域みらい留学３６５」。
首都圏の高校生を中心に一年間、地方の高校へ留学できるという制度です。
ほとんどの先生が「北海道の自然を感じてほしい」「田舎の高校で伸び伸びと学んでほしい」そんな想いを持っている中、T先生は違った角度で留学生に期待をしています。
「君たちの目から見る幌加内の良さを教えてほしい」
住んでいる人たちにとっては分からない魅力を、外から来た人たちに教えてもらいたい。
T先生が留学生に期待するのは、そんな違った目線です。
プロフィール
T先生（本人希望により本名非公表）
趣味はアンティークやビンテージ物の収集。
これまでに集めたものは、時計、黒電話、アラジンストーブ、扇風機など。
大好物はお酒。
いつも笑顔で仕事をしているのが特徴的な先生。
イタリア車の古いフィアットを手入れして乗りこなす、アンティークな大人代表。
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